【予備知識】外国人が来日するための手続きが面倒な理由と、もっと簡単に来日できないの?ということの解説
こんにちは。申請取次行政書士の王子です。
前回までの記事で、
①本国で査証(ビザ)を取得⇒入国の推薦状の役割を果たす
②来日、空港で入国審査、事前に取得した査証と本人を審査して、OKであれば在留資格が与えられる
という流れを解説しました。
つまり審査が二段階になっているということですね。
今回は、なぜこのようなまどろっこしい制度になっているか、そして、もっと簡単に日本に来ることはできないのか?という点について解説します。
二段階審査の理由
結論から言うと、これは管轄省庁の違いからくるものです。
日本での在留についての事務手続き(在留資格の付与)は法務省の管轄です。
THE 縦割り行政の弊害!
実はここで、さらなる問題が出てきます。
査証(ビザ)にはあらかじめ在留資格を指定して申請し、発給がなされますが、観光を目的とした「短期滞在」ならまだしも、それ以外の中長期の在留を目的とした在留資格の条件は複雑で審査も厳しかったはずです。
それを、管轄違いの外務省で、しかも海外の出先機関である大使館で正しい判断(この人は◯◯の在留資格で入国して大丈夫そうですよー!という判断=ビザの発給)が行えるでしょうか?否!
つまり、大使館はビザの発給をする際に、【ビザの申請内容の中で希望の「在留資格」の条件を申請者が満たしていること】を知りたいのです。(大使館側では判断できないから)
実際の来日手順ー在留資格認定証明書の取得ー
では、実際上の手続きの流れはどうなっているのかというと、
【実際の来日手順】
①事前に日本の入国管理局に、来日を希望する外国人が希望する「◯◯」の在留資格の基準を満たしていることを認定してもらう「在留資格認定証明書の交付申請」
②①で取得した「在留資格認定証明書」を、来日希望の外国人に送付して、ビザ申請の際に添付して申請を行う
③②で取得した査証(ビザ)をもって来日、上陸許可を受け、日本での生活スタート
これまで説明した大使館での査証(ビザ)申請の前に、日本で在留資格の条件を満たしていることのお墨付きを得るステップが追加されました。
実際上は、このような3段階の審査になっているのです。
在留資格によって審査期間の長短がありますので、長いものだと①の審査で3~4ヶ月かかったりします。
更にビザの発給にもそれなりの時間がかかりますので、かなり大変な手続きになることがわかりますね・・・
注意点として、
この3段階審査は、観光などの「短期滞在」には適応されません。
「短期滞在」の在留資格での入国は、中長期の在留資格と違い非常に簡単な基準となっているため、先程の①「在留資格認定証明書の取得」のステップは省略されます。
つまり
◯観光などの「短期滞在」の在留資格での来日
⇒大使館へのビザ申請から始まる2段階審査
◯「短期滞在」以外の中長期在留資格すべての来日
⇒日本の入国管理局への「在留資格認定証明書の交付申請」から始まる3段階審査
となります。
結構大事ですのでぜひ覚えておいてください。
もっと簡単に来日する方法ー査証(ビザ)の免除ー
今までの説明を受けて
「日本に来てる外国人全員こんな面倒な手続きしていたの??」
という疑問が浮かんだ方もいるでしょう。
実はそうではないのです。
国家間の取り決めでお互いに
「観光の場合はビザの手続き省略ってことでOKにしようや」
ということになっている国がたくさんあります。
日本人が海外に行くとき、あまりビザのことを気にせずにいられるのは、実はこの協定をたくさんの国と結んでいるからなのです。日本に生まれてありがたや・・・
もちろん、すべての国がこの査証(ビザ)免除に該当するわけではないので、きちんと本国の日本大使館で申請をして短期滞在の査証を手配している方もいます。
これについて注意すべき点は、「短期滞在」の場合のみ適応される、ということです。
中長期の在留資格の場合はもれなく査証(ビザ)申請が必要になりますのでお気をつけください。
ちなみに、免除される国の一覧は以下の通り
※2017年7月1日よりアラブ首長国連邦が追加となり現在は68カ国
上陸許可の際に付与される在留期間は,
アラブ首長国連邦は「30日」
その他の国・地域は「90日」
国ごとに細かい条件があったりしますので詳しい情報は外務省のサイトでご確認ください。↓
まとめ
◯来日手続きが面倒なのは外務省と法務省の管轄違い(縦割り行政)のせい!
◯観光などの「短期滞在」の在留資格での来日
⇒大使館へのビザ申請から始まる2段階審査
◯「短期滞在」以外の中長期在留資格すべての来日
⇒日本の入国管理局への「在留資格認定証明書の交付申請」から始まる3段階審査
◯ビザ免除国の方は観光などの「短期滞在」であればビザ申請なしのパスポートひとつで気軽に来日できる!
今回の説明はのちのち解説する問題に直結しますのでぜひしっかり覚えて頂きたいです。
ここまでの話を理解していれば、外国人の入国時の流れをほぼ理解したといっても過言ではありません。
海外の知人・友人・恋人等を呼び寄せる際の知識としてぜひご活用ください。