【在留資格別ポイント解説】「短期滞在」問題編②
こんにちは、申請取次行政書士の王子です。
前回の記事で、日本の入管制度は「短期滞在」の旅行者の在留に厳しい制限をかけていることがわかりました。
一言で言うなら、「期間内に必ず帰りなさい」という趣旨の制限です。
今回は、なぜそのような厳しい制限になっているのか考えて行きましょう。
簡単だからこそ厳しくー事前に誓約までさせるー
まず「短期滞在」の査証は比較的簡単に取得できると説明しました。(条件は簡単でも、書類自体は色々面倒ですが…)
他の在留資格と比較すると短期滞在だけが簡単なのです。
審査もそれほど深くは行われないと考えてもらって良いです。
その理由は、簡単で「数が多すぎる」からです。
観光客は何100万人といるのに、そんなに深くあれこれ調査してたら旅行に来てもらえません。
ですが、誰でも彼でも査証を出していたら日本の治安が悪くなるかもしれませんし、勝手に住み着く人も山ほど現れそうです。
そこで、日本の外務省は査証を交付する際に、短期滞在者関連のトラブルを未然に防ぐための外せないポイントを条件にして、きちんと用意しています。
うまくできてますねー…
在留資格「短期滞在」での査証発行の際の条件
これは大きく2つです。
まずひとつ目は前回も説明しましたが、
①在留期間内に必ず帰ること、そしてそれを誓約すること
そしてふたつ目の条件は①の実行を担保するものの存在です
②帰るために充分な資金が用意されていることの証明
①は、日本に勝手に住み着いたりする意思はないですよーということの表明です。本人あるいは、日本に呼び寄せる家族側が「本人をちゃんと帰らせます!」という形で誓約書を提出することもあります。
そして②は、「ちゃんと帰るための航空券が買えますよ!」「本国に仕事もあるので、日本に住み着いて勝手に働いたりしないですよ!」ということを証明するために、預金残高の証明や在職証明を提出することになります。
この2つの条件で最低限のふるい落としをかけて、
「全財産をつぎ込んで買った日本行きの片道切符で日本に行って住んでやる!」というような考えの外国人を入国させないようにしているのです。
こう見るとちゃんと考えられた制度になってるなー!と感心します。
ここまでを整理すると、
事前に「ちゃんと期限内に帰ります!」と自分で宣言した外国人が、
いざ日本に来て手のひらクルーで「やっぱ日本にいたい!制度厳しすぎ!なんとかして!」というのはおかしいことがわかりますよね?
「短期滞在」は”短期”だからこその簡易な手続きで日本に来られる制度なので、そこをきちんと理解することはとてもだいじですよ。
抜け穴見ーっけ♪
制度には抜け穴があったりするものです。
実は、先程の入管制度にも悲しいことに抜け穴があります…!
勘の良い方ならもうおわかりかもしれませんが、世界には来日する際「査証(ビザ)が不要な国」があるのはご存知ですね?
そうした国の人にとっては、帰るなんて誓約した覚えも無ければ、帰りの船賃なんて必要ないのです。とにかく日本に来て暮らしたい!という目的を持った外国人が「短期滞在」を利用することを防ぐことができません。
つまり、入り口の段階で、不純な動機を持った旅行者を止めることは完全にはできないという抜け穴なのです。
もちろん、査証が必要な国の中でも、事前に帰るという誓約をしたのに、日本に来て帰りたくないという方ももちろんいます。
では、短期滞在で日本に来てそのまま住みたいと願う外国人には、最終的にどんな結末が待っているのか…
短期滞在だけど日本に住みたい人の終着点
結局のところ、どうなっちゃうのという点ですが、
どうにもなりません。
というのも、
在留資格「短期滞在」は基本的に、在留期間の延長も他の就労系の在留資格等への変更も認められていませんので、申請しても門前払いです。
そういう制度なので、諦めてもらうしかないですね。
「専門家のくせに諦めろだなんて薄情だぞ!!」
「そ~だそ~だ!!」
「なんとかしろ!!」
という声が聞こえてくる気がしますし、
やはりなんとかしたいと考える方が相談にいらっしゃるのもわかるので、
次回は「どうしても!!!」という方向けに幾つか解決の糸口を提示してみようと思います。
まとめ
◯「日本に住みたい」という目的で、「短期滞在」で日本にきても、最終的にはどうしようもない(泣)
以上